[PR]テレビ番組表
今夜の番組チェック


飲酒運転撲滅には:厳罰化と共に職場における予防活動を


日本禁酒同盟 加藤純二
 

 毎日新聞の10月28日の「論点」欄に被害者、行政、司法の3者の立場から、飲酒運転撲滅のための提言が掲載された。厳罰化やひき逃げによる逃げ得を許さない法的整備は確かに必要である。しかし飲酒運転に関する連日の報道にも関わらず、今年秋の全国交通安全運動期間の10日間で3,856件(昨年5,127件)の飲酒運転検挙者があったという。これは常態的に飲酒運転が広く行われていて、人身事故は勿論、検挙者も氷山の一角だということを示している。私はアルコール医療に関わる医師の一人として、医療の立場から提言をしたい。
 
 井上さんご夫妻の記事の中に、飲酒運転の再犯者のうち53%はアルコール依存症であったという米国の報告が記されていた。日本でも同様だと思う。断酒会で飲酒運転が話題になると、まず殆どの参加者、つまりアルコール依存症者は過去に飲酒運転を繰り返している。WHOのアルコール依存症の診断基準は以下である。
 

   @アルコール使用への強い欲求
    A使用の時期や量の統制が困難
    B離脱症状とその回避のためのアルコールの使用
    C耐性の増強
    Dアルコールに代わる楽しみや興味を失う
    E有害性を気づいているがアルコールを使用
 
 このうち3項目以上が該当すれば依存症と診断される。呼気のアルコール検知で非常に高濃度であれば、AとCが該当し、「アルコールを飲んだ方が、運転が上手になる」という場合はBが該当するだろう。再犯者はA、D、Eなどが該当する。
 
 平成16年の厚生労働省研究班は、WHOの診断基準よって調査し、日本には82万人(成人男性の約2%)がアルコール依存症と推定した。またアルコール依存症は進行性の病気で、軽症から重症まで連続的であり、依存症の可能性あり、つまり予備軍は、440万人(成人男性の7.1%)と推定されている。男性14人の職場なら予備群が1人いることになる。飲酒も飲酒運転も「わかっちゃいるけど止められない」という「ハイリスク者」は非常に多いのだ。
 
 日本には14項目の簡単な質問で、アルコール依存症の重症度を推定できるKASTという問診表があり、また4項目に答えるだけでスクリーニングできるCAGEという問診法もある。これらを職場で応用すればアルコール依存症の予備軍がピックアップできる。それに職場の健康診断でγ-GTPが高い人、出勤時に呼気のアルコール検知が陽性だったり、同僚の意見から飲酒運転をしている疑いがある人も予備軍、つまり飲酒運転のハイリスク者とし、これらの人々にアルコール依存症と飲酒運転の危険性についての講習、および一定回数の断酒会への参加を義務づけることを提言したい。職場の安全衛生講習の一つとし、懲罰的な雰囲気でなく、受講希望者はだれでも参加できるようにする。このような予防活動は、被害者も加害者も生むことなく、会社にとっても利益は大きいと思う。(某新聞へ投稿し、ボツとなったもの)

 

  

財団法人 日本禁酒同盟
Japan Temperance Union